過敏性腸症候群の治療
仕事の途中で腹痛を起こしてトイレに駆け込む、登校前に必ずお腹が痛くなる
ガスがたまってお腹がはる、下痢と便秘を繰り返す。このような症状を引き起こすものに過敏性腸症候群という疾患があります。
大腸検査や血液検査などでは異常が認められないのが特徴です。
原因ははっきり解明されていませんが、現在のところ「何らかの誘因」が引き金になって中枢・末梢神経系や消化管ホルモンの調節がうまくいかなくなり、小腸・大腸の運動がスムーズに行われなくなったり、消化管が知覚過敏の状態になったりすると考えられています。
この「何らかの誘因が」は不規則な生活や暴飲暴食なども挙げられますが、多くの場合不安や緊張などのストレスだとされます。その意味で、家庭や職場・学校などの人間関係や、環境の変化などさまざまなストレスのさらされている現代人ならではの疾患と思います。特に神経が細やかでデリケートな性格の人に発症しやすいようです。年齢的には20~30歳代の若い世代に多くみられますが、最近では思春期や学童期の小児にも増加しています。
症状の傾向はおおまかに分けて、腹痛を伴う下痢が特徴の「下痢型」、腹部の痛みやはりを伴う便秘が特徴の「便秘型」、そして便秘と下痢の症状を併せもつ「混合型」、これらのいずれともいえない「分類不能型」の4つがあり、症状は排便によって軽快することがほとんどです。
診断に際して、まずは詳細な問診をおこない、便の検査、血液検査、X線検査、内視鏡検査などを組み合わせて行います。これらの検査は、腸に炎症やがんなどの器質的な疾患がないかどうかを調べるためです
過敏性腸症候群は比較的長期にわたって続く病気です。しかし器質的な疾患ではありませんので、まずは症状に大きく影響を与えているストレスを解決したり、発散したりすることと、食生活を含めた生活習慣の改善など、リラックスした毎日を送ることができるように努めることが大切です。
とは言え、ストレスを解決するのは、現実問題として簡単なものではありません。そこで薬剤を用いて「消化器の症状を抑えたり、ストレスや不安をとりのぞく」治療を行います。
当クリニックでは、スムーズに行われなくなった胃腸の動きを正常に近づけていく効果を持つ消化管運動機能改善薬など従来の西洋薬のほか、症状に合わせて漢方治療も行います。
おなかの症状で困っておられる方、ぜひ一度ご相談ください。